出会いの海岸
サンタ「何がごめんなさいや。謝っている意味がないやろ。電池はどこにあるんだ」
美幸「車のなか」
サンタ「ほんまか。それと、車のキーと財布」
美幸「ああ、これ」
サンタ「お前ら、まさか使ったんじゃないやろな。減ってるな。いくら使った」
涼子「ガソリン台と飲食代。大したことないよ、芸能人なんだから」
サンタ「ぶざけるな。お前ら強盗傷害だぞ」
涼子「それっぽっちのお金で」
サンタ「そんなのは関係ないわ。怪我させて財布から抜きとったんやからな」
涼子「でも、ガソリン満タンにしたよ」
サンタ「誰がしてくれっていった。こんなところにこなければ、そんなことする必要ないんだよ。それと、キーは」
美幸「ええ、車の」
サンタ「そうや、早く帰って仕事いかなくちゃならんのや」
美幸「今更遅いんじゃない」
サンタ「そんなの分かってるわ。誰のせいでそうなってると思ってるんや。いいから早く出せ、車のキーを」
美幸は、車のキーらしきものを取り出して、サンタに預けるかのように見えたが、しかし、サンタの手をかすめるかのようにして、それを海に向かって投げた。
美幸「ああ」
サンタ「何がああや。お前なにすんねん」
美幸「だって、あれを渡したら、帰るんでしょ」
サンタ「もうゆるさんぞ。お前らの態度次第では、何もなかったことにしてやろうなんて思ったけど、そうはいかなくなった」
美幸「ええ、どうするの」
サンタ「警察や」
美幸「鍵は」
サンタ「うるさい。鍵を探したら、警察に行く」
美幸「無理だよ。海のなかなのに」
サンタ「これぐらいだったら探せる」
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