青のキセキ
「いいのか?」
そう聞く課長に、頷く。
課長が歩み寄ってくるのをみて、何故かホッとした。
断られたらどうしよう...。恥ずかしい...。
そう思っていたから。
スリッパを出し、部屋の中へ課長を招き入れる。
リビング(というほど立派な部屋じゃないけど)に入り、課長に適当に座ってもらうようにお願いして、脚を引き摺りながらキッチンへ行こうとした私に、課長が言う。
「足、大丈夫か?無理するな」
「大丈夫です。コーヒーと紅茶、どっちがいいですか?」
「美空はどっちが好き?」
「え?」
「美空と一緒でいいよ」
「じゃ、紅茶でもいいですか?」
「ああ」
ニッコリと微笑んで答える課長に、私は胸の高鳴りを抑えられなくなりそうだった。