青のキセキ
搾り出すような、課長の声。

課長の手が震えているような気がした。





顔を上げると、私を見つめる課長の深茶色の目がそこにあった。




私を抱きしめていた課長の手から力が抜けるのを感じたが、私は課長と視線を重ねたまま、動けなかった。


課長の瞳に映る私。


課長の眼には、今、私が映っている。


そう思うと、身体が動かなかった。



課長への想いが溢れ出す。もはや抑えきれず。




自然と涙が溢れ、再び頬を濡らす。












「美空.....」









課長が私の名を呟く。




課長の手が、私の頬に触れた。








――――刹那、









唇が重なった。
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