青のキセキ
「遥菜、何で幸せになっちゃダメなのよ!まさか、まだあのことを気にしてるの?あれは遥菜のせいじゃないんだから、もう忘れた方がいいよ」


それまで、静かに私たちの話を聞いていた久香が、口を開く。


「忘れることなんて出来ない。忘れたらダメなんだよ。だって、私は守ってあげられなかったんだから。それが事実なの。あれは、私の罪なんだから」


首を横に振りながら、俯き加減で話す。

いつの間にか、瞳いっぱいに涙が浮かんでいた。


溢れ出た涙がポタポタと膝の上に落ち、服の色を変える。



「あいつ…、許さない。どこまで遥菜を傷付ける気なんだよ…」


久香が拳を握りしめ、机をドンッと叩く。






「何があった?」


私を胸に抱き寄せて、溢れた涙を親指で拭いながら、課長が誰ともなしに聞く。


「何故お前が幸せになったら駄目なんだ?」



翔さんも久香も黙りこんで、下を向いてしまった。


私も何も言えずにいた。



しばらく、無言のまま。




でも。




もう隠したくない。『私』を知っていて欲しいから…。


思い切って、課長に私の過去を打ち明けようと決めた。






「課長、私の過去を…。聞いてくれますか?」











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