青のキセキ
消せない記憶




「――――今から4年前、私は当時勤めていた病院の先生と付き合ってたんです」


私は元彼との話を課長に話し始めた。





彼と別れてから、思い出したくもなかった過去。私を捕らえて逃がさない、いつまでも私を追い詰める出来事。


でも、私を好きだと言ってくれる課長には私の過去を知ってほしい、そう思った。


何故私がこんなに『男』を恐れるようになったのか。

そして、何故私には幸せになる権利はないのか。






課長には、私の犯した罪を話すべきだ。

私の消せない記憶の出来事を――――。







「栄養士として病院で勤め出して少し経った頃、食事に誘われたのが最初でした。それまで毎日の生活に必死だったから、男性からの誘いに、すごくドキドキしたのを覚えています。当時、彼は病院内でも人気があったから、信じられなくて」




「彼から告白された時も信じられませんでした。彼の周りにはキレイな看護師さんがたくさんいたし。でも、真剣に気持ちを伝えてくれて。それで、彼と付き合うようになったんです」





私の話を、じっと聞いている課長。


そして、翔さんと久香。

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