青のキセキ



出張前の金曜日。


美空と『翔』で食事。

今日は美空に渡したいものがあった。


先日から時計の調子が悪くて、新しい物を買いに行った時のこと。


社会人になってから、時計はフレデリックコンスタントのものをずっと使い続けている俺。

修理に出すだけのつもりだったのに、新しいものが欲しくなり、つい、気に入ったデザインのものを購入。


時計を包んでもらっている間、店内を見て回る。




そこで目に入った一つの時計。

ハートが重なり、ダイヤがあしらわれた時計がそこにあった。



(これ、美空に似合いそうだな...)


気が付いた時には、店員に包んでくれるように頼んでいた。



気に入ってくれるといいが...。




タイミングを見計らって、時計の入った箱を美空の前に置くと、美空は不思議そうにしている。


俺がプレゼントだということを伝えると、開けてもいいか聞く美空。


――――相変わらず、律儀な奴。




中身を確認し、少し遠慮している様子。



金額なんて関係ない。


ただ、美空に合いそうだと思ったんだ。俺がプレゼントした、その時計を身に着けたお前が見たいだけだ。




嬉しそうに笑ってお礼を言う美空がとても可愛く見えた。







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