青のキセキ
「美空...」
課長の背中に頬を当て、課長のぬくもりを感じる。
「明日の会議が終わって向こうに帰ったら、元の生活に戻ってしまう。だから...。お願いです。もう少し、一緒にいてください」
声が震えるのがわかった。
こんなことを言うと、課長を困らせることは自分でも分かってた。
困らせたいわけじゃない。
課長と一緒にいたい。
同じ空間にいたい。
ただ、それだけ――――。
課長が黙ったまま、私の方へ体の向きを変えた。
「...俺もお前と一緒にいたい。だが、これ以上一緒にいると、自分を抑えられなくなる......」
私の肩を抱き、瞳を閉じて言う課長。
「お願いです。課長」
構わない。課長となら...。
「課長が好きです」
言わずにいられなかった。
課長への想いが溢れて。
「美空...」
課長が私の名前を呟く。
次の瞬間、私は課長の腕の中にあった。
「俺もお前が好きだ」
二人抱きしめあったまま、部屋の中へ入る。
――――パタンと、扉が閉まると同時。
課長の唇が、私の唇に重なった。