青のキセキ
服もそのままに化粧すら落とさず、まるで睡魔に襲われたように目を閉じた。











気が付けば、夜中の2時。



「服、着替えなきゃ...」


化粧も落とさないと...。明日も仕事だし。




だるい身体を奮起し、ベッドから立ち上がった私の目に入ったのは、床の上に無造作に置かれた中身の飛び出したバッグ。


そして、その中に着信を知らせる光が点滅している、私の携帯。


携帯を拾って画面を確認する。




着信3件。メール3件。



電話もメールも全て課長からだった。


着信時間を見ると、メールが2通来た後に着信が3件。そして、最後の3通目のメール。



一番最後のメールが来たのが、1時になっている。

今から1時間前。




『今から行く』



え?行くって...ここに来るってこと?


だって、来れるわけないでしょ...?


綾さんを置いて、しかもお通夜の夜に。



慌てて課長に電話をかける。



呼び出しコールがたった1回鳴っただけで、課長が電話に出た。


「美空!?今どこにいるんだ!」


切羽詰まった課長の声が携帯から響く。


「家...です。すみません。携帯をマナーモードにしたまま寝てしまってて...。ごめんなさい」


課長の声の迫力にビックリしながら言うと、課長が『はぁ~』と深く長く息を吐くのが聞こえた。そして、優しく呟く声。



「無事でよかった」



「課長...」



「こんな時間で道も空いてるし、あと1時間で着くと思うから。とりあえず近くのコインパーキングに着いたら電話するよ」


そう言って電話は切れた。




嘘...。本当に...?


来てくれるの.......?



















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