青のキセキ
「抱きたい」
深茶色の目で見つめられ、胸の鼓動が加速する。
「駄目か?」
ギュっと抱きしめられて耳の後ろで囁く課長の声に、胸のドキドキが止まらない。
「ダメじゃ...ないです。私も課長を感じたい。でも...」
「...ん?」
課長の胸に顔を埋めて、瞳を閉じてゆっくりと息を吐く。
「美空...?」
「...早く帰らないと...明日、告別式ですよね」
嫌だ。帰ってほしくなんかない。
このまま一緒にいたい。
でも。
それは、許されない。
こんな夜に、課長と二人いることなんて。
神様が許すはずがない。
「...今すぐ、お前を抱きたい」
私を抱きしめる腕に、力が入る。
「...私も抱いてほしいです」
誰にも許されなくてもいい。
ただ課長が好き。
たとえ、どんな苦痛を味わうことになったとしても。
たとえ、地獄に堕ちようとも。
課長のそばにいたい。
彼を感じたい。
彼に――――抱かれたい。