青のキセキ


「抱きたい」


深茶色の目で見つめられ、胸の鼓動が加速する。



「駄目か?」


ギュっと抱きしめられて耳の後ろで囁く課長の声に、胸のドキドキが止まらない。




「ダメじゃ...ないです。私も課長を感じたい。でも...」


「...ん?」


課長の胸に顔を埋めて、瞳を閉じてゆっくりと息を吐く。


「美空...?」


「...早く帰らないと...明日、告別式ですよね」


嫌だ。帰ってほしくなんかない。


このまま一緒にいたい。



でも。



それは、許されない。



こんな夜に、課長と二人いることなんて。




神様が許すはずがない。





















「...今すぐ、お前を抱きたい」



私を抱きしめる腕に、力が入る。





「...私も抱いてほしいです」





誰にも許されなくてもいい。


ただ課長が好き。



たとえ、どんな苦痛を味わうことになったとしても。



たとえ、地獄に堕ちようとも。




課長のそばにいたい。



彼を感じたい。



彼に――――抱かれたい。















< 397 / 724 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop