青のキセキ
音を立てないように寝室を出てリビングへ移る。
暗い部屋の中でソファにしばらく座っていたが、頭がモヤモヤとしてはっきりせず、シャワーを浴びることにした。
バスルームの中。
全身シャワーを浴びる。
壁に両手を突き、下を向いて目を閉じた。
そのまま、昨日のことを思い返す。
所々、鮮明になる記憶。
ここへ帰って来たのは、深夜遅くだった。
何度も電話したのに...と大声で騒ぐ綾を横目に、着替えをするためにそのまま寝室へ行った俺。
酔いのせいで、よろけそうになりながら。
そんな俺の様子を驚いた目で見る綾。
「ちょっ...どうしたの...?あなたがこんなに酔うなんて...何があったのよ」
...そうだ。
その後、あまりの気分の悪さにベッドに横になって...。
たしか、美空の夢を見た。
美空を抱く夢を...。
今思えば。
やけに生々しい夢だった。
あいつの白くて透き通るような柔肌。
甘い香り、息遣い。
この手に残る...感触。