青のキセキ


そういえば...1ヶ月後は美空の誕生日。

なにかプレゼントをしようにも、物は要らないと言う彼女に無理矢理渡すわけにもいかず、一緒に食事をした後ホテルで朝まで過ごすのが恒例になっている。

普通は指輪やネックレス、バッグや服等欲しがるもんだと思う。

翔にも相談したことがあるが、未だに美空は物を欲しがる素振りを見せない。


一応、今年も何が欲しいか訊いてみたが、考えておくと言っていた。


俺が美空にプレゼントしたものは...あの時計だけ。


あんなことがあった後、新しい時計をプレゼントしようとしたが、美空に断られた。

『だって、課長が私のことを考えながら選んでくれたものだもの。確かに嫌なこともあったけれど...この時計は私の宝物だから』


時計を胸に押し当てて、柔らかな笑顔を浮かべて彼女は言った。


そんな彼女が...とても愛しくて。



なのに。



現実はとても残酷だ。
















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