青のキセキ

テーブルの上に並んだ料理の数々。


「美味しそうだな」


向かいに座った課長とワイン（私はジュースだけど）を乾杯し、食事を楽しむ。





課長が料理を口に運ぶ間、胸がドキドキした。一応味見はしたけれど、こうして料理を食べてもらうことは無かったから、課長の口に合うかどうか、とても不安になる。



「美味い！このロールキャベツ、最高だ」


親指を立てて課長が言った。




「嬉しいです。課長に喜んでもらえて...。お代わりもあるから、たくさん食べてくださいね」


胸に込み上げるものがあったけれど、必死に抑えて笑顔で言い、私も食べた。





どれも美味しいと言って食べてくれる課長を前に、私は幸せを感じていた。





これが最初で最後だと分かっているけれど、でも、それでも嬉しかった。




二人での食事。お店ではなく、こうして私の作った物をゆっくりと味わってもらうことが出来たのだから。