青のキセキ


車で20分。

着いた所は、私が住む港町から一番近い市街地。


途中、お互いに言葉を発することはなく、静かに時を刻むだけ。それとは裏腹に、私の心臓は緊張しすぎて張り裂けそうなぐらい大きな音を立てて鼓動を刻んでいた。





コインパーキングに車を停めて、私達は落ち着いた雰囲気の喫茶店に入った。













「変わらないな」


「...え?」


何のことか分からない私に、『それだよ』と言うようにカップを指差す課長。


私が頼んだのは、紅茶。


真っ白なティーカップに注がれた琥珀色した紅茶が、窓からの陽射しを反射して輝いていた。





「あの頃も紅茶ばかり飲んでいたよな」



そう言って、課長は自分が注文した飲み物を一口飲んだ。


私と同じ紅茶を飲む課長。





「美空がいなくなってから...お前のことを考える度に紅茶を飲んでたら、いつしか紅茶ばかり飲むようになってた。今じゃ、コーヒーよりも紅茶のほうが飲む頻度が高いんだ」


笑いながら話す課長の言葉に、胸が痛かった。










「それにしても、無事でよかった」





少しの間を置いて、深い息を吐くと同時に課長が言った。





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