青のキセキ
本当のこと
「碧、ケーキでも食べに行こうか?それとも、アイスクリームの方がいい?」


保育園からの帰り道。

手を繋いで歩きながら、碧に聞いてみた。



帰ってきた返事は、「どっちも」。



目をキラキラさせて返事する碧が可愛くて、思わず笑みが溢れた。


「じゃあ、ケーキとアイス、両方食べに行こう!」




バスに乗って市街地へ出るため、バス停まで歌を歌いながら歩く。


保育園で習った歌を元気いっぱいの声で歌う姿が、こんなにも愛しくて。





そんな私たちの横を、1台の車が通り過ぎたと思ったら、少し前の方で停まった。


あれは...。


この前見た課長の車と同じ種類。




トクン、トクンと、体内に響き始める鼓動。




運転席から降りてきたのは翔さんで。助手席の方へ回り、誰かと何かを話している様子。


誰かなんて、そんなの一人しかいない。




嫌だ...会いたくない...。


今は課長に会ったらダメなの。




碧と繋いだ手に自然と力が入る。



この子と課長を会わせるわけにはいかない。




碧の手を引っ張って、翔さん達に背を向けようとしたその時。




「遥菜ちゃん!待って!」


背後から聞こえた、翔さんの声。

ドアの閉まる音。


そして、近付いてくる足音。






「美空...」



胸に響く、愛しいあなたの声。














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