青のキセキ
課長を前に何も言えなくて黙りこむ私に、課長の後ろから翔さんが言った。


「遥菜ちゃん、勝手なことをしてごめん。でも、やっぱり二人で話をした方がいい。何もかも正直に大和に言った方がいいよ」


「何のことだ...?正直って...」


翔さんの言葉の意味が分からなくて、課長は困ってる。


「美空...?」

どうして。会いたくないと言ったのに。

どうして、翔さんはこんなことをするのだろう。


「何も...話すことはありません」

ただ、俯いて呟いた。











「ママ」


張り詰めた空間に、風を吹き込むかのように響く碧の声。



無邪気に私を呼び、私を見つめる碧。



「その子はお前の子...?」


課長が言った。




「...はい」


どうしよう。どうしよう。

身体中に拡がる不安。焦り。

嫌な汗が背中を流れる感覚。






お願い。気付かないで。
















< 711 / 724 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop