魔王と魔女と男子高生と

教会と属性

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「絶好の魔物征伐日和
だね!!」

「……どしゃ降りだがな」
砂漠の街に珍しい雨が
降り注いでいた。

「こりゃ、珍しいのう、
確かに雨季じゃがここ
まで朝から雨が
降るなんて……」

「まぁ、僕勇者なんで、
雨を呼んだんですよ」

なぜそんなに得意気なのか全くわからないが
空砂は胸を張っていった。
「……お前、雨男
だったな」

陸琉は空砂と出会って
から一度も運動会が
行われた記憶がない。

修学旅行も、遠足も
みんな雨だった。

それだけじゃない、
空砂と遊びに行く日も
いつも決まって雨が
降った。

ちなみに違う友達と
遊びに行く日は特に
雨はふらない。

降るときもあるが
いつもではない。

「雨男じゃない!!
レインマンと呼んでよ」

「英語にしただけ
じゃんか……。
まぁ、これじゃ山には
行けないな」

「そうじゃな」

明らかに山に行く
雰囲気ではないのは
見ればわかる。

まったりムードが
流れようとしたが、

「なんでそこで
諦めんだよ!!
山が呼んでるんだよ!!
行くんだよ!!」

と、突然空砂に
炎の妖精が宿った
ようで理不尽極まりない
発言をはじめた。

「いやいや、ないない」

陸琉がいつものように
止めようとした、
が……

「そうですね、勇者様
今日こそ魔王退治日和
です!!」

ともうひとり炎の妖精、
もといリビアが現れた。

「だよね!!今日
行かずしていつ行くんだ
って感じだよね」

リビアはもう少し冷静と
信じたかった陸琉だが
どうやらそんなことない
らしい。

「ええ!!山にいる
魔物のゴーレムもこの
雨なら溶けて倒しやすく
なるはずですし!!」

「……ゴーレム?
魔物ってゴーレムなのか?ゴブリンとかスライム
じゃなく?」

「ゴブリン?スライム?
それ位の魔物ならあたし
ひとりで殺れるわよ」

そう言った彼女は
あり得ないくらい綺麗に
笑った。

その笑顔に陸琉は
身震いする。

「……ひとりで
殺れるのかよ……」

レベルという概念が
この世界にあるかは
知らないがしばらくは
彼女に逆らわないことを
決めた陸琉だった。

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