【短編】『夢幻華番外編』恋人の時間(とき)
杏がこの世に生れ落ちた瞬間(とき)から、俺の道は決まっていた。

小さなもみじの手に初めて触れたあの日

俺は幼いながらも杏を護ると心に決めた。

想いに気付いてから10年…

よくここまで苦しみを引きずりながらも愛し続けたものだと自分でも思う。

だからこそ、これから先は一瞬だって杏と離れることなど考えたくは無いんだ。


互いを想い過ぎてすれ違った切ない時を埋めよう。

想い続けた切なく苦しい10年分の時をこれからの満たされた時間で埋めていこう。

おまえの心を手に入れて俺の世界は全てが息づいて見えるようになったよ。

おまえと一緒だと、忘れかけていた空の青さや花の美しさを心で感じる事を思い出せるんだ。




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