【短編】『夢幻華番外編』恋人の時間(とき)
「杏はクリスマスに暁さんとデートなんでしょう?
大人だモンねぇ。いいなぁ。
車で遠出もできるし、高級なホテルとかに泊まったりも出来るし…。
あたしたちなんて高校生だから、せいぜい日中デートして、夜はうちのママ主催のクリスマスパーティだわ。」

「ホームパーティでもいいじゃない。」

「だってねぇ?クリスマスよ。恋人たちの夜よ。
やっぱりクリスマスデートでしょう?」

「クリスマスデート?」

「だからぁ…ラブラブに過ごしてちょっとお洒落なホテルに泊まって~みたいな。」

「…ぁ、ああ。なるほど…。そういうのは無いなぁ。
うちはいつもホームパーティだし。」

「…って、え?杏…クリスマスの予定って…」

「暁の家族もみんな一緒にうちに来てパーティだよ。毎年の事だし。」

「それって、暁さんも来るの?」

「もちろんよ。」

「…暁さんはそれでいいのかな?」

「…それでいいのって、何かおかしいの?
そう言えば暁もそんなこと言ってたわよね
『杏、本当にクリスマスそれでいいのかよ。』って。」

雅があんぐりと口を開けてあたしを見つめている。

一体どうしたって言うの?


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