【短編】『夢幻華番外編』恋人の時間(とき)
暁もこんな顔していたよね。

呆れたって言うかバカにしてるって言うか…。

なによ。あたし、何かおかしな事言ってる?

二人して奥歯に物のはさまった様な言い方をして…。

なんか…腹が立ってきたかも

「…何よ。暁も雅も同じセリフを同じような表情(かお)して言うなんて…。
あたし何かおかしな事言ってるの?」

「おかしいに決まってんじゃない!」

雅の剣幕にあたしは一瞬固まってしまった。

この親友は武道なんてやっていてとっても強かったりする。

興奮させるとその辺のものをバキッ!とかって簡単に壊してくれちゃったりするわけよ。

そういえば以前二人でいてナンパされた時に男の子があたしの腕を掴んだ事に雅がキレて相手をノシちゃった事もあった。

強くて綺麗で優しくて…正義の味方みたいな理想的な親友の雅は、怒るとちょっと怖い存在だ。

彼氏の勇気さんもとても強い人だから二人のバランスが取れているんだと思うけど、普通の男の子だったら絶対に音をあげていると思う。

黙って座っていれば究極の日本美人なんだけどなぁ。


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