恋の献血センター
「痛いのは嫌。でも・・・・・・他の人を練習台にするのも・・・・・・嫌」

 直接吸うということは、口付けする、ということだ。

「じゃあ、あけびちゃんで練習するしかないや~」

 つい、と朱美の腕から針を抜いて、彼が言う。

「あけびちゃん、可愛い子で良かった。ごっついおっさんだったら、直で吸わせて、なんて、絶対言えないよ~」

 へら、と笑う彼に、朱美は、びし、と指を突きつけた。

「あのね、こんな珍しい血、そうそう会えるもんじゃないんだからね!」

「うん、僕も初めて」

「だから、私のこと、大事にしないと駄目なんだよ?」

「そうだね~。うん、あけびちゃんは、大事だよ」

「よって、他の血液は直で吸うことを禁じます」

「・・・・・・何で? 全然繋がってないんだけど」
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