恋の献血センター
「でも、一旦別容器に採ったらさぁ、味落ちるんだよね。やっぱり血は、そのまま飲むに限るなぁ。ねぇあけびちゃん」

 ずいっと、彼が顔を近づける。

「あけびちゃんはさぁ、僕に直接飲まれるの、嫌?」

「・・・・・・えっ」

 ルビーのような真紅の瞳が、真っ直ぐに見つめてくる。
 不覚にも朱美は、どきどきと胸を高鳴らせた。

「い、痛いんじゃないの?」

「ちょっとはね。でも、あけびちゃんのためなら、痛くないように努力するよ」

 こ、こんなアホな吸血鬼に、いいようにされてなるものか。
 というかその前に、吸血鬼である時点でNGではないか。

 頭はいろいろ現実的なことを考えるが、朱美は少し上目遣いで彼を見上げた。
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