【完】山伏ネコの旅日記
…再会…。

 オレは…山岳の山道から人里にたどり着き…きた道の経路と同じく川沿いの道を今度は下り…川岸を歩き懐かしの我が家へと急いだ。


 “ーパシャーン”

 川岸と並行する水面を蹴り…川魚が元気よく跳ねるのを眺めながら海を目指しひたすら歩いた。


 “ザアアァァァン…。”

 “ザアアァァァン…。”


 やがて彼方遠くに潮の香りとさざ波の音が近づいてきた。


 オレは来た道にも通った川岸を結ぶ大きな橋をくぐり懐かしい我が家を目指した。


 一歩…また一歩と…足早に我が家に続く道を両足の肉球で踏みしめて歩く。


 この旅が始まったころは…強くなりたい一心でアテのない旅路だったが…今は違うまず心が強くなった…。
 そして…志を同じくする仲間もできた…。
 それから…これからやるべき使命にもかかわらず立ち向かう勇気を養った。


 “ザアアァァァン…。”

 “ザアアァァァン…。”

 だんだんと波音が近くなってきた…もう我が家はすぐそこだ…。


 だんだんと懐かしい道が現れると自然に心が騒いだ。


 オレは…逸る気持ちを抑え家路を結ぶ…道路をわたった…。


 懐かしい風景が立ち並ぶ…。

 しばらく感じていなかったが磯の香りが見慣れた風景に漂っていた。


 だんだんと歩く速度が早まる…。
一歩…また一歩と我が家が近づいてきて …やがて…。
 道路を注意して越えたその先に敷地内の坂道が出迎える。



 なんだか訝しい気持ちでオレは…その坂道を潜ると懐かしい飼い主のおばあちゃんが住んでいる我が家にたどり着いた。



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