【完】山伏ネコの旅日記

 “奥の養殖用の池かなあ?”


 お孫ちゃんの家と畑を挟んだ小道がありそのあぜ道の奥に飼い主のおじいちゃんが養殖用の黒鯉を飼育しているコンクリートで作ってある巨大プールのような水槽の事をみんな…池とよんでいて…飼い主のおばあちゃんは…その池の近くにニワトリを飼っていたのでニワトリにエサをあげにいったりして…そこからお孫ちゃんの家に行くこともあるため…オレは、奥の池にも足を運んでみた。


 “ザザザザ…。”


 自分より背丈の高い雑草を抜けてあぜ道を通る途中で何物かの黒い影が横切った。


 その影に耳をすませるとさらに鮮明に複数の足音をたててこちに近づいてきた。

 オレは身構え…様子を伺うと草陰にピンと伸びた猫ミミとしっぽが草陰から見え隠れしていた。


 “ちっ…。
 今日…いつものようにあそこの家の玄関あけたら孫がもう学校帰ってきててお互い目があっちまって入りそこねたよ…。”

 “孫がいる時間帯はさけた方がいいぜ!まあ…攻撃したら引っ掻いてやるだけだけどな!


 だな…と悪態ついた笑い声をあげて近づく集団にオレは…野良猫・こそ泥集団の事を思い出した。


 自分がいなくなってもまだそんな悪さをしてたのかと思うと腹ただしくて仕方なかった…!


オレは…加速をつけて小道から姿を表す集団めがけて走り出した。
< 32 / 44 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop