秘密の時間
「……美優、行こうか」
いつもの様に優しい声でベッドまで誘われる。
そして、一つのベッドで温もりを分かち合う。
彼の唇も私に触れる大きな手も、いつもいつも優しいのに、
なぜか素直に喜べない。
本当はものすごく嬉しいのに。
「……美優、もう少し集中して。
俺の事信じて。今は……俺の事だけ考えて」
ベッドの上で私を上から見下ろす巧さん。
その瞳は私の思いなど全てお見通しみたいで、私はたまらず息を飲んだ。
その妖艶な瞳に、いつもとは違う彼がそこには居たから、
急に心臓があり得ない早さで脈打ち始めて……。
そんな私を見た巧さんは少し意地悪な笑みを浮かべ私の頬にキスを落とした。