桜舞う頃に
まだ春なのに湖で泳ぎ、濡れたまま長時間いることなど・・・・・


だからだろう、淳貴は淑子のほうに歩いていき、


「失礼。」


そういうと淑子を横抱きにして体が見えないよう他の衣で隠し、自邸に向かって歩き出す。


淑子自身突然のことで何も言えずされたままで淳貴には好都合ともいえるものだった。


淳貴の屋敷に入っていく2人に驚く女房や使える衛士たち。


淳貴が戻ったと知り、やってくる人物は淳貴の腕の中にいる女性をみて驚いていた。


とっさに言おうとしていた『東宮』の御名を言わなかったことは賞賛に値するが。


「淳貴様!?何があったのです?


そのお方は?」


2人だけのときだけ言えるという名。


人がいるときは決して言うことはない名前。


『淳貴』と呼ぶことが出来るのは限られたものたちだけなのだ。


その一人が藤原雅近

大納言家令息で自身も三位中将でもある人物だった。


「話は後だ!!


お湯殿の準備と衣装の準備を!!」


そういって淳貴は女房に淑子をお湯殿に案内させる。


その後姿を見ながら淳貴は目が離せなくなっていた。


自分の妻にしたい・・・・・


そう感じている自分がいてなぜか分からず混乱すらしていた。


そんなに淳貴に雅近はため息をつく。


「はぁ~あなたがついに恋をされたのですね。


でも、あの方はどちらの息女なのですか?

見たところ京の上位の姫君だと思われますが・・・・・

それにあの髪は・・・・・

彼女、『月の姫』ではありませんか?」


そういわれ、淳貴は疑問符を浮かべた。


『月の姫』なんて言葉、聞いたこともなかったのだから・・・・・





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