シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「おう。俺達だてに長く玲とつるんできたわけじゃねぇんだぜ? それに誰が櫂を死なせるか。俺は櫂の護衛であり、幼なじみだ。キンキンうるせえ音で、虚数の度合いを耳で感じ取れるし、俺だって増幅の力で、仮に櫂の力が消耗したとしても支えられる」
煌が俺に笑った。
「信じろよ。玲だけじゃねえ、お前を信じて支える奴だっているんだからな? それにひとりだけ良い格好しない。協力体制で行こうぜ、裏世界を切り抜けてきた時みたいにさ」
「ああ……。そうだな。上には翠もいる。……頼むぞ、相棒」
「ああ、任せろ」
ぱしん、と煌は自分の拳を手の平で叩いた。
「よし。役者は揃った」
そう満足気に頷いたのは緋狭さんで。
「可愛いな~」
やはりニャアニャアしか聞き取れないらしい夢路に、喉元をくすぐられて気持ちよさそうにしていたけれど。
「坊、煌。ここから……玲と繋がって見せよ。
相手を感じ、そして玲に感じさせろ。深く!!」
それはまるで修行の一環。
危機感や不安を感じるより、俺としてはやって見せようという好戦的な紫堂の血が騒ぐだけ。
緋狭さんの声に頷く俺の横では、煌が赤い顔をしていて。
「どうした、煌?」
「い、いや……。際どい言葉だから、ちょっと……」
「際どい?」
俺が眉を顰めると同時に、睦月がぱしんと煌の後頭部を叩いて、
「この――破廉恥犬が!!」
怒鳴っていたけれど。
「それでは……行くっ!!」
突きだした俺の両手から闇の力が放射する。
それを場の瘴気に馴染ませ、引き寄せる。
さぁ、闇の力よ。
俺はどんなに増え続けようと、すべて許容してやる。
どんなに暴れようと、俺が抑えてやる。
だから俺以外の命令を聞くな。
「"ワーム、ウォルミス、ヴェルミ、ワーム"……」
俺の命令はただひとつ。
「闇よ、我に従え!!」
玲に――。
玲に繋げろ!!!

