シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


『あいつ、会う度にパワーアップしてんだ。泣く泣くネコ耳、何回も段ボール箱に捨ててきた。折角の発情ネコなのに。こんなこと…ありえないと判っているからこそ、チャンスだったのに』


涙声だ。


「煌"…煩悩滅殺"」

『ぐすっ。…おぅ…煩悩滅殺"』


何のネコ耳かは容易に想像つく。


発情芹霞…か。

煌にとっては、最強の組み合わせだろう。

そこまでネコ耳芹霞を渇望しているのか。


怒って良いのやら笑って良いのやら。

それでも欲には打ち勝てて帰ってきたんだ。


昔の煌なら帰って来れなかったかも知れない。

偽りだと判っていても離せない欲。

それは現実ではないと判っているからこそ。


望みは高まるんだ、限りなく。


――ニャアアアン。


想像したら、首の辺りがカアっと熱くなってきて、俺はぶんぶんと頭を横に振る。


俺は芹霞のネコ耳なんて…。


「見て…みたかったかも」

『武装した遠坂見たって何にもなんねえよ』


遠坂ではないんだけれど。


『つーか、お前は欲なしで進めたのか、そうだよなお前だもんな』

「俺は聖人じゃない。ただの男だ。出たぞ、氷皇が」

『氷皇!!? お前大丈夫か!!? よく切り抜けられたな』

「ああ、何とか逃げられた。そっちの問題の出来はどうだ?」

『もう少しだな。あと5、6問ってトコ。神がかり的にすげえ早いぞ、この2人。今なら1枚3秒かかってないんじゃねえか? お前帰ってくるまでには終わるだろう。…今帰りか?』

「いや…ブロック待ってる」

『ああ、此処からお前が見えた。けど、時間に焦った前のに比べれば、案外呆気ない程楽勝だな。人数いるせいか? 問題も終わるからテトリスすれば…煩いな、チビリス!! お前はテトリスしないでいいんだって!!』


楽勝…?


「………悪い、煌。一度切って折り返す」


強制的に切ってしまった電話を片手に、俺は考えた。


楽勝…と言えるのか?

問題を全て解き、テトリスだけに気を回せぱそれでよし…?


………。


確かに…俺も当初そう思っていたんだ。

前半戦勝負だと。


だけどまだ落ちてこないブロックを見て、不安になった。

これは移動時間を考慮して、いかに時間をとってブロックを積み上げられるかと言う問題ではなく、いかに早く落下するブロックをきちんと並べられるかにかかっているのではないかと。


だとすればこの状況は――。


「これは…やばいな」


俺は前髪を掻上げた。
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