シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
――坊、モノには必ず重心というものがある。それを少しずらしてやれば、無駄な力をかけずともよい。
俺は煌より、筋力がないのは明らかだ。
弱い者が大きなモノを相手にするときの方法は、それが生きているモノであれ生きていないモノであれ、重心を通る"支軸"をずらせばいいことを緋狭さんから習っていた。
相手にするモノの支軸を見つければ、そこに少しばかり気を通せば…支軸はずれていく。
そうすれば巨大な相手でも俺が倒すことは可能だと。
今、俺の筋肉が断裂していないのも、それのおかげと言える。
ありがとうございます、緋狭さん。
『→出口はこっち』
案内板にそって、帰りの迷路に立つ。
場所的に…行きと同じ迷路は間違いないようだ。
「ニノ、1つ聞く。此処での罰則(ペナルティー)はないんだな?』
何となく判ってきた、今回のGAME。
今まで通り、ニノは先に全てを告知しない。
俺が聞けば、新たなる定義(ルール)を説明する。
聞かねば全貌が判らない。
最初のイロオニとは違う形で、定義(ルール)が変わりゆく。
聞かねば都度適用され、その突然さに慌てさせられたのか…それともその定義(ルール)なしに進んだのか判らないけれど。
それでも少なくとも俺が聞いた限りにおいての、細やかな"時間制限"の定義(ルール)は、ゲームを構成する最低限の縛りとなっている。
それを限られた時間内で有効にするのは、俺達しかいないんだ。
これを不利には考えるまい。
TIME OVERを避けるには、与えられた条件の中で、ゲームを…組み立てる必要があるんだ。
今居るのは、俺と煌と翠とレイ。
ブロックの落下を早められるのは、ブロックに触れるか…最下段のブロックを移動すること。
最下段の移動で、ブロックに触れて行えば、更に落下を早められる。
筆記問題はもう解く必要がない。
必要なのは、如何にブロックを素早く並べ、消していくか。
その為には移動時間は極力短縮して、見送る時間だけは無くさないといけない。
『お答えします、櫂様。罰則(ペナルティー)はありません』
「では、このゲームの形態を変えるのは可能か」
『お答えします、櫂様。"時間"に関するもの以外であれば可能です』
用意されているということは、それを見越していると言うことか。
これは賭けだ。