シンデレラに玻璃の星冠をⅢ

――坊、モノには必ず重心というものがある。それを少しずらしてやれば、無駄な力をかけずともよい。


俺は煌より、筋力がないのは明らかだ。

弱い者が大きなモノを相手にするときの方法は、それが生きているモノであれ生きていないモノであれ、重心を通る"支軸"をずらせばいいことを緋狭さんから習っていた。

相手にするモノの支軸を見つければ、そこに少しばかり気を通せば…支軸はずれていく。

そうすれば巨大な相手でも俺が倒すことは可能だと。

今、俺の筋肉が断裂していないのも、それのおかげと言える。


ありがとうございます、緋狭さん。


『→出口はこっち』


案内板にそって、帰りの迷路に立つ。

場所的に…行きと同じ迷路は間違いないようだ。


「ニノ、1つ聞く。此処での罰則(ペナルティー)はないんだな?』


何となく判ってきた、今回のGAME。

今まで通り、ニノは先に全てを告知しない。

俺が聞けば、新たなる定義(ルール)を説明する。


聞かねば全貌が判らない。

最初のイロオニとは違う形で、定義(ルール)が変わりゆく。

聞かねば都度適用され、その突然さに慌てさせられたのか…それともその定義(ルール)なしに進んだのか判らないけれど。

それでも少なくとも俺が聞いた限りにおいての、細やかな"時間制限"の定義(ルール)は、ゲームを構成する最低限の縛りとなっている。


それを限られた時間内で有効にするのは、俺達しかいないんだ。


これを不利には考えるまい。


TIME OVERを避けるには、与えられた条件の中で、ゲームを…組み立てる必要があるんだ。


今居るのは、俺と煌と翠とレイ。

ブロックの落下を早められるのは、ブロックに触れるか…最下段のブロックを移動すること。


最下段の移動で、ブロックに触れて行えば、更に落下を早められる。


筆記問題はもう解く必要がない。


必要なのは、如何にブロックを素早く並べ、消していくか。


その為には移動時間は極力短縮して、見送る時間だけは無くさないといけない。



『お答えします、櫂様。罰則(ペナルティー)はありません』


「では、このゲームの形態を変えるのは可能か」


『お答えします、櫂様。"時間"に関するもの以外であれば可能です』


用意されているということは、それを見越していると言うことか。


これは賭けだ。
< 516 / 1,366 >

この作品をシェア

pagetop