シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
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「ん……?」


目を開けた。


ああ、夢か…。


夢から醒めたのに…まだ温かい。

夢から醒めたのに…まだいい匂い。


石鹸の香りが鼻を擽(くすぐ)る。


温かい…。

凄くいい匂い…。


ぬくぬくですべすべで気持ちが良い。

この大きいのほっぺに気持ちがいい。


若干、この大きいの――


汗ばんで熱くて固いけど…

しかも凄く、どくどく煩いけど…


まあいいや…。



……ん?

…この大きいのって、何だ?



「芹霞……」



掠れきった…喘ぐような声が耳に届く。


やけに…色気のある声色で。



顔を上げれば――



「よかった。これ以上は…僕…」



潤んで揺れる…熱っぽい瞳。

綺麗な綺麗な…鳶色の瞳。


僅かに…苦しそうに細められた。



「僕だって…健全な男なんだよ?」


喘ぐような吐息が、顔に熱すぎて。


顔…?



「ひっ!!!????」


それがあまりに至近距離過ぎたのに、あたしは思わず仰け反った。


な、何でこんな近くに玲くんが!!!?

しかも…何この密着度!!!?


何だか…玲くんの服を捲り上げて、

直の肌に頬をすりすりしていた気がするけど…。


更に今…

あたし何処に手を入れていた!!!?


なんか…ズボンに手を入れて(腰!!)、思い切り自分の方に引き寄せていた気がするけど…


ありえない…。


幾らなんでも、あたしはそんなことはしない!!!

そんな破廉恥なことをするのは、緋狭姉くらいだ!!


あたしは清純な乙女だ!!!

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