極悪兎甘い牙を向く
朝からあんな不良に絡まれるなんて、
縁起が悪いなぁ。
あと二つくらいは
何かありそう。
学校に着いて
クラス表を見に行くと
何百人という数の生徒が集まっていた。
「葵!!」
一際甲高い声が背後からして振り返ると、幼馴染みの湯尾 野々歌(ユオ ノノカ)が笑顔でたっていた。
「野々歌!おはよう!
野々歌はもうクラス表見たの?」
「うん!!私と葵は同クラだったよー!!蒼斗は隣のクラスー!ざまぁないわねー!」
クスクスと不敵な笑みを浮かべて呟く野々歌。
すると、野々歌の背後から蒼斗が現れて野々歌のこめかみを両拳で挟む。
「なーにーがー、ざまぁないだ!!」
「いたーい!!バカ蒼斗!!
女の子になんてことするのよー!!」
「蒼斗、入学式前からの部活お疲れ様!野々歌を離しなさい!」
春休みからバスケ部の練習に参加していた蒼斗は入学式の今日も朝練で先に行っていた。
私の言葉に渋々野々歌から離れる蒼斗。
「なんで、双子は同じクラスになれねーんだよー!」
不機嫌そうに呟く蒼斗。
昔からずっと一緒にいた私たちは
周りから見ると異常な程
仲のいい双子に見えるらしい。
「仕方ないよ。昔からクラスだけは離れてたじゃん!?それより、そろそろ教室行かないと時間ぎりぎりだよ!」
腕時計を見て二人を見る私。
「そうだね!早く行こうー?葵!」
私の腕に抱きつく野々歌。
「あ、野々歌!!あんまりベタベタすんなよ!!」
「蒼斗うるさーい!!」
朝から賑やかなこの雰囲気が私たちのいつもの朝。
そして、
始まりの朝。