あのコのひみつ^_^

#5


「おかえりなさい、遼一くん」

「あ、美由紀さん。」

美由紀さん。隣の部屋に住んでる姉貴の友達だ。

大学院生で多少ギャルっ気のある姉とは違い、おっとりした女の子らしい人だ。

「今日、祐太クン泣いてたけど・・・。

どうしたの?」

昔からの知り合いだから、俺達の事情は知っている。

彼女の心配はいつも本気だった。

「いやぁ、ちょっとね。」

大丈夫じゃない時、何ごともなかったかのように俺は笑顔を作るのがいつもの癖だ。

だから美由紀さんは余計顔をしかめる。

「もしかしてまた、りんごが・・・。」

「いや、もう大丈夫。その辺りは」

俺はまた笑った。

「・・・本当?」

「はい・・・」



今回は不倫とかではないし、でも問題っちゃぁ問題だけど、

姉が俺の同級と結婚なんて言いにくいし・・・

と、少し目をそらして頭を悩ませていたら、

いつの間にか沈黙状態になってしまった。


お互いなんとなく気まずい雰囲気。


「あ・・・あのねシチュー作ったの。

よかったらどうぞ」

美由紀さんはわざと思い出したかのように、最初から持っていたタッパーを俺に差し出した。


「あぁ、ごめんいつも


いっ!!」



腕を曲げた途端、腕に激痛が走った。

「いっ・・・」


かすっただけとはいえ、痛いのは当たり前。


「遼くん?大丈夫?

!!血滲んでるよ!?」

「え・・・?」

ヌメッ

傷口を触ると、案の定嫌な感触がする。


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