カプチーノ·カシス


「角砂糖にブランデーが染み込ませてあるんですよ。炎が消えたらそのスプーンでかき混ぜて、飲みます。ブランデーのアルコールはほとんど飛んでしまうので、お酒に弱くても大丈夫だと思いますよ」


尾崎さんの説明を聞きながら何気なく横の武内さんを見ると、彼女は消えゆく炎をまだ見つめていた。

その大きな瞳を縁取る長い睫毛が白い肌にくっきりと影を落としていて、どきりとした。

昼間は影を潜めていた“女の顔”……それが徐々に姿を現してきている気がして。


そして俺は恐れている。

その妖艶な眼差しに負けて、間違いを犯してしまうのではないかと。

参ったな……こんなことを思うなんて。

もう、認めざるを得ない。

……俺は、彼女に惹かれている。


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