カプチーノ·カシス


尾崎さんの好意に甘えて外に出ると、タクシーはすぐに捕まった。


「武内さん、自分で乗れる?」

「はぁい」


ふにゃりと笑っておぼつかない足取りで何とか乗車すると、彼女は窓にもたれて眠ってしまったようだった。

ため息をついて後ろを振り返るとちょうど尾崎さんが出てきた。


「すいません、ご馳走様です」

「いえいえ、彼女は大丈夫ですか?」

「ええ。ただの飲み過ぎでしょう」

「……そうです、かね」

「え……?」

「いや、とにかく気をつけて」


要領を得ないままタクシーの扉は閉まり、俺と武内さんを乗せて夜の街を走り出した。


< 134 / 349 >

この作品をシェア

pagetop