カプチーノ·カシス


「さっき、この涙は武内さんの幸せのために必要だなんて言ったけど……それを拭わずに居るなんて、やっぱり俺には……」


お弁当の袋がカサリ、と音を立てて地面に落ちた。

そして同時に……課長は強く強く、あたしを抱きすくめた。



「……後悔、しない?」



課長が、熱っぽい声であたしに囁く。


「……しません。ずっと前から覚悟は出来てます」


あたしが答えると、課長は少しだけ身体を離す。


自然と視線が絡み合ったあたしたちは、まだ明るい昼間の駅のホームで……


人目もはばからず、熱いキスを交わした――。


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