カプチーノ·カシス
ハルが、長い睫毛を伏せてため息をつく。
そしてもう一度顔を上げてあたしを見たとき、その瞳はもうあたしを睨んではいなくて……
薄い膜が張ったように少し潤んだそれが、あたしの姿を鏡のように映していた。
「……そんな女に興味はない。俺が欲しいと思う女は、武内愛海……ただ一人、だ」
ハルの瞳の中のあたしは、ひどく呆けた顔をしていた。
だって、それじゃまるで……
「ハルの好きな人って……誰?」
……あたし?と聞かなかったのは、そうでなければいいと心の中で願っていたからかもしれない。
だって、もしそうなら今まであたしはハルにあまりに残酷なことをしていたことになる。
あたしはそれを、認めたくなかった。
辺りは静けさに包まれていた。
でもあたしの心臓だけはうるさく音を立てていて、それが耳の奥で響くのを聞きながら質問の答えを待っていると、ハルはこんなことを言い出した。
「……今夜、俺の部屋に来い」