カプチーノ·カシス
「え……?」
「来たら、その質問に答えてやる。どうせ今夜はクリスマスイブだ。課長には逢えないんだろ?」
「それは……そうだけど」
今夜の課長は奥さんお手製のケーキやご馳走を食べたり、娘さんのためにサンタの格好をするので忙しい。
だからあたしに与えられたクリスマスは、二十六日。
その日なら遅くなっても大丈夫と課長が言ってくれて、あたしもそれで充分幸せだ。
だって、あたしたちの関係に“聖夜”なんて響きは全く似つかわしくない。
それでも二人だけでひっそりと、特別な夜を過ごせればいいのだ。
「じゃ、決まりだな。今日は生産も少ないし残業にはならないだろうから、そうだな……七時に、マンションに来い」
「ちょっと! まだあたしは行くとは……」
「さっき言ったこと忘れたのか? お前は俺の寂しいイブを充実させる義務があるんだよ。拒否権なんてない」