カプチーノ·カシス


「うぅ……重い」


今日は朝から小ロット生産(短時間で一つの製品が作られること)が多くて、あたしは手に余るほど多種類の豆の袋を抱えて開発室へ戻ろうとしていた。

部屋の前まで来たはいいけど手が塞がっていて、扉を開くことができない。


「もう……あとちょっとなのに」


肘を使って無理に開けようとすると、バランスが崩れて持っていたサンプルが雪崩を起こした。


「わ……っ!」


それらは廊下に散乱し、中には袋が破けてしまい豆がこぼれているものまである。

あぁ……最悪!

慌ててしゃがみこんだあたしが豆を拾っていると、開発室の扉が開いてハルが顔を出した。


「……何やってんだ?」

「見ればわかるでしょ! 豆を落としたの!」



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