カプチーノ·カシス


「また、派手にやらかしたな……」


ぶつぶつ言いながらもあたしの隣にしゃがんで豆を拾うのを手伝ってくれるハル。

あんなことがあった後なのに、いつも通りに接してくれることが嬉しかった。


「そういえば今日、石原休みだって」

「……風邪か?」

「ううん、お母さんの体調が悪いらしくて」

「……そうか」


やっと豆を拾い終え、ハルと半分ずつ袋を持って開発室に入るとまだ課長は会議から戻っていないようだった。

ハルがあたしを振り返って、言う。


「……悪かった」

「え……?」

「お前が課長と電話で話してるの聞いたら、つい頭に血が上って……」


あたしは、口の中で無意識に舌をすぼめた。ハルの痛みが宿った部分は、まだ鈍く疼いている。


「もう……わからなくなってきた」


ハルが、掠れた声で呟く。


「どうすればお前を手に入れられるのか……わからない」



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