カプチーノ·カシス
「これでお前の中から課長はいなくなった」
「バカ……そんなうまく行くわけ……ない、でしょ……っ」
ハルの胸をドンドン叩いて異論を唱えると、その腕を捕まれて唇を奪われた。
触れるだけのキスをしてからゆっくり唇を離したハルは、あたしの顔を切ない表情でのぞき込む。
「……俺は“仲間”なんかじゃ満足できない」
「え……?」
「お前がまだ課長を忘れられないのならそれでも構わない。それでもいいから……俺の側にいてくれ」
いつもの命令口調でない、どこか必死な様子のハル。
その真剣な想いに、失恋したばかりの弱った心で応えるのはいけない気がしてあたしは言う。
「少し……考えさせて。ちゃんと、頭の中を整理してから……返事をしたいの」
「……少しってどれくらいだ」
「えっと……一か月くらい」
「そんなに待てるかよ……」
ハルはそう言って、ますますあたしを抱き締める腕に力をこめた。