カプチーノ·カシス


濡れた前髪をかき上げながら、まだ息の荒いハルが言う。


「お前な……」


あたしは口の中に出されたものを飲み干してしたり顔を作ると、「なあに?」と聞き返した。


「……勘違い……するだろ」


……勘違い、か。

そうだよね……最後まで口でしてあげるなんて、たとえ本気で好きな相手にもあまりしないことだ。だって、すっごい重労働だもん。

じゃあどうしてハルにはしてあげたんだろう。ご奉仕するって約束したから?

……ううん、それだけじゃない気がする。


「勘違いじゃ……ないかも、よ?」


あたしは床に座り込んだまま、シャワーの音にかき消されてしまいそうなくらい小さな声で呟く。

するとハルがあたしの腕を無理矢理つかんで立たせ、詰め寄ってきた。


「……今、なんて言った」


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