カプチーノ·カシス


バスルームから出ると、先に上がっていたハルがキッチンで飲み物を作ってくれていた。


「それ、アイスコーヒー?」

「……ちょっと違う。飲んでみろ」


首を傾げながら、あたしはキッチンのカウンターに置かれたグラスに手を伸ばした。

氷とともに注がれている液体は、どう見てもコーヒーだけど…


「――嘘! これ、オレンジジュース入ってる?」

「ああ。コーヒーとオレンジジュースと、それからミルクも少しな」

「なんか、ゴクゴクいけちゃう」

「……喘ぎすぎたからじゃねえの?」

「~~バカ!!」


とてもくつろいだ様子でじゃれあうあたしたちは、まるで普通の恋人同士みたいだった。

始まりはセフレだったけど、でも、だからこそ今さら隠すことなんてもうなにもなくて――


それからソファでもう1回戦抱き合って、疲れたら二人同じベッドで眠って……

あたしはその日、初めてハルのマンションで夜を越え、新しい朝を迎えた。


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