カプチーノ·カシス
デザインカプチーノ
絡まり合っていた糸が少しずつ解けて、やっと前を向いて進めるような気がした。
ハルとは一応恋人同士の関係になり、会社帰りにお酒を飲んだり、お互いの家を行き来したりと平穏な日々を過ごし、ちゃんと幸せを感じることもできた。
……ただ、会社で課長を見る度に降り積もる悲しみだけは消えなかった。
もう、好きでないとは思う。
だけどかつて大好きだった人として心が反応してしまうのだ。
ふと開発室でふたりきりになった瞬間や、他の皆と笑いあっている時に偶然瞳が合う瞬間……
そんな時に、あたしの心は決まってズキズキと痛んだ。
きっと時間が解決してくれる……そう思っても、なかなか胸の痛みは治まらない。
そうして、数週間が経ち……
バレンタインが近づいてきたある休日、あたしはハートとチョコレートで溢れる浮き足だった街へ買い物に来ていた。
ハルへ贈るチョコレートを選ぶためだ。