カプチーノ·カシス
全く状況が飲み込めないまま柏木さんの後に続いて店内に入ると、窓際のテーブル席から美波ちゃんがにこやかに手招きしている。
流されるままに彼女の隣に腰掛けると、テーブルにはシャンパンボトルと四つのシャンパングラスが運ばれていた。
……何かの、お祝い?
「じゃあ美波、注ぎますね」
柏木さん、愛海ちゃん、僕の順でグラスにシャンパンを満たしていく美波ちゃん。
彼女のグラスには相変わらず何が何だかわからないままの僕が注いであげた。
お酒が揃い、誰が乾杯の音頭を取るのだろうと思っていると、口を開いたのは美波ちゃんだった。
「それでは、柏木さんと愛海さんの婚約を祝して……」
「「「乾杯!」」」
………僕以外の三人が声とグラスを合わせ、シャンパンに口を付けた。
僕はグラスを持ったままぽかんと口を開け、その様子をただただ眺めていた。