カプチーノ·カシス

柏木さんの行動は、僕を傷つけまいとする優しさから来るものだった。


まだ少しでも愛海ちゃんに気持ちがあるなら、婚約の話は僕には酷だろう。

だから僕が美波ちゃんを本気で好きかどうかを判断するために、わざと怒らせるようなことを言った。


……柏木さんが後からそう教えてくれた。



「やっぱり格好いいですね、柏木さんって……」



帰り道、僕の家まで歩く途中で美波ちゃんが呟く。


……僕もそう思う。


歩けないほどに泥酔して、女の子に肩を借りる情けない僕とは大違いだ。



「……好きになっちゃった?」



酔いに任せて美波ちゃんにそんなことを聞いてみる。

美波ちゃんなら否定してくれる……そんな安心感があったから。


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