カプチーノ·カシス

一番欲しいものってどういう意味……?


それを考えようとしても、ハルの舌があたしの思考を絡め取ってしまって、残るのは甘い余韻だけ。


悔しいけど、あたしにはやっぱりこの男が必要らしい。

生き物みたいに動く舌に、あたしの奥まで届く長い指、そしてあたしを満たしてくれる彼自身――…


ハルの身体全部が、あたしの苦しい胸の痛みを快感に変えてくれる。



「マ……ナミ……」



最後の場所に選んだハルのベッドの上。

うっすら瞳を開けると、ハルは目を閉じていて、いきそうなのか眉根を寄せている。


今……愛海って言った?

本名で呼ぶプレイ…とか?


確かに燃えるかも、と限界が近い頭でぼんやりと思ったあたしは、自分も彼の名を、溜息混じりに口にしてみた。



「ハル、ト―――――…」


< 64 / 349 >

この作品をシェア

pagetop