カプチーノ·カシス
一番欲しいものってどういう意味……?
それを考えようとしても、ハルの舌があたしの思考を絡め取ってしまって、残るのは甘い余韻だけ。
悔しいけど、あたしにはやっぱりこの男が必要らしい。
生き物みたいに動く舌に、あたしの奥まで届く長い指、そしてあたしを満たしてくれる彼自身――…
ハルの身体全部が、あたしの苦しい胸の痛みを快感に変えてくれる。
「マ……ナミ……」
最後の場所に選んだハルのベッドの上。
うっすら瞳を開けると、ハルは目を閉じていて、いきそうなのか眉根を寄せている。
今……愛海って言った?
本名で呼ぶプレイ…とか?
確かに燃えるかも、と限界が近い頭でぼんやりと思ったあたしは、自分も彼の名を、溜息混じりに口にしてみた。
「ハル、ト―――――…」