カプチーノ·カシス


「――じゃ、気をつけろよ」


ハルはマンションの前まで出てきて、タクシーがつかまるまで一緒に待っていてくれた。


「うん、じゃあまた明日」


今日はありがとね、そう言ってあたしはタクシーに乗り込んだ。


「ふぅ……」


――結局、三回もしてしまった。

本当にあたしって馬鹿だ。

でも……足の間がヒリヒリする程激しい行為の方が、その後ぐっすり眠れるのだ。

一人の夜は何度も夢に見てしまう課長の笑顔も、ハルに抱かれた夜は不思議と浮かんでこない。

だからきっと今夜も、安らかに眠れる……

あたしは穏やかな気持ちになって、タクシーのシートに疲れた身体を沈めて目を閉じた。


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