カプチーノ·カシス
「あら、お二人さん今日も仲良くランチ?」
社食の隅に座るあたしと石原のテーブルにランチのトレーを置き、冷やかしてきたのは人事課で働く同期、三浦里沙(ミウラ リサ)。
「里沙、お疲れ。何度も言うけどあたしたち別に仲良くないわよ」
「ひどいなぁ、仲悪くはないでしょ」
口を尖らせる石原を無視して、あたしは隣でご飯をほおばる里沙に訊いた。
「ねぇ、うちの課に工場から新しい人が来るって本当?」
「あぁ! それそれ! 愛海に言おうと思ってたの~! 写真見たんだけど、超イケメンよ」
私もあんたの課に異動したいわぁ~と、うっとりため息をつく里沙。
あたしは吉沢課長という想い人が居るから顔なんてどうでもいいんだけど、仕事のできる人ならいいな。
ここ最近扱う商品の数が増えてきて、三人での作業が限界に近くなっていたから。