カプチーノ·カシス
ついに……言ってしまった。
あたしは高ぶった気持ちのまま夜の街を走り抜け、自分の住むアパートへと向かう。
刺すように冷たい十二月の空気も、妙な興奮で熱くなった今のあたしには心地良い。
部屋に着くと扉を勢いよく閉め、コートも脱がずにベッドにダイブする。
「しちゃった……告白」
今さらながら、胸がドキドキする。
告白どころか、キスまでしてしまった。
大阪の夜、覚悟して下さいなんて言ったけど……それまでにばっさり振られたらどうしよう。
さっきまでの強気なあたしはどこへやら、ウジウジとベッドの上で丸くなる。
「そうだ……ハル」
こんな頼りない気持ちになっているとき、いつでも思い出すのはやっぱりあの男の顔。
ハルと話したい……
あたしは漠然とそう思って、バッグの中から携帯を取り出した。