違う次元の迷子センター
「ヨシュアこそ、何してるの?」
 目の前に立つヨシュアは見慣れた子どもの姿で、RG仕様だ。私がこいつを視認できている時点でそれは明らかなのだが、平日の昼下がり、こんな街中のこんな時間にヨシュアがRGにいるなんて珍しい。
もっとも、別にヨシュアの生活サイクルを細部までつぶさに把握しているわけではないから、珍しいというのはただの私の主観にすぎないのだけれど…。ちょっとした空き時間や週末を利用して私に会いに来てくれる以外、てっきりUGにこもっているものだと思っていた。そうそうコンポーザー様がUGを不在にしていては困るだろうし。
 渋谷狭しと言えど、こんな雑多な人ごみの中で示し合わせもせずに会えた偶然に思わず感謝する。こんな風に外で会うことは滅多にないから、素直に嬉しい。嬉しいのだけど。
「うん、僕はね……んー、迷子センター?」
「はぁ?」
 ヨシュアの物言いは時々ものすごく分かりづらい。今日も変わらないらしいそれに、思わず眉を寄せた。
「この子」
 そう言って、振り返るようにやや下を見るヨシュアの視線を追うと、幼い体躯の見知らぬ少女がひょっこりと顔を出した。どうやら、今までずっとヨシュアの影に隠れていたらしい。思いもかけない、見覚えのない人物の登場につい一歩身を引く。
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