tender dragon Ⅰ
「あたしが結衣と友達になったから…」
ギュッと握った手のひらに、痛みを感じる。手のひらに爪が食い込んでいた。
それくらい、強く。
「あの日助けてもらっちゃったから…っ」
結衣の運命を狂わせてしまった。
結衣の人生を壊してしまった。
傷つくのはあたし1人でよかったはずなのに。
「その日記読んで分かんないのかよ!!」
バンッ、と音がした。
希龍くんが机を叩いたからだった。
立ち上がった希龍くんの顔は今にも泣きそうで、それでも怒ってるように見える。
「結衣が美波と友達になったこと、後悔してるわけないだろ!」
希龍くんにこんなに怒鳴られたの、初めてだなぁ。なんて、関係ないことを考えたりして。
何でか分からないけど、涙が溢れた。
「いじめられても我慢できるくらい傍にいたかったんだよ!料理苦手なのに誕生日に手作りケーキ作るくらい大好きだったんだよ!」
あぁ、そっか。
「幼なじみに紹介したいと思うくらい大切だったんだよ!」
あたし認めたくなかったんだなぁ。
結衣があたしと友達になったことを後悔してる、なんて。そんなこと思いたくなかった。